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【なぜ日本企業で働くと、グローバルな市場価値がつかないのか?】元住友商事、シカゴBooth MBA、元ゴールドマン・サックスが語る「離島経済」の正体と、あなたの市場価値を3倍以上にする脱出ルート!
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なぜ日本企業で働くと、グローバルな市場価値がつかないのか
元住友商事、シカゴBooth MBA、元ゴールドマン・サックスが語る「離島経済」の正体と、あなたの市場価値を3倍以上にする脱出ルート
アルファアドバイザーズ代表の入住壽彦(いりすみ としひこ)、TJです。
私は住友商事に入社し、主計部で会計・決算・予算・IRを担当した後、ニューヨークに駐在して米州・中南米の事業マネジメントと事業会社の経営に携わり、帰国後はプロジェクトファイナンス部で大型のグローバル資金調達をアレンジしてきました。その後、社費でシカゴ大学Booth MBAに留学し、MBA後はゴールドマン・サックスの投資銀行部門(IBD)で働き、アルファアドバイザーズを創業しました。アルファアドバイザーズは18年以上にわたり、80,000名以上の方のキャリア・転職・海外MBA・受験を支援しています。
今回は、日本企業で働く優秀な社会人の方々に、あえて耳の痛い話をします。「なぜ、あなたは優秀なのに、グローバルな市場価値がつかず、年収が低いままなのか」という話です。そして、そこからどう脱出し、市場価値を3倍以上にするのか。私自身の経験と、18年以上・80,000名以上のご相談から見えてきた構造を、どこよりも深く解説します。
第1章 あなたは優秀だ。それなのに、なぜ年収は変わらないのか
東大・京大・一橋・早慶を出て、誰もが知る大手企業に入った。社内では評価され、昇進も同期の中では早い方だ。海外駐在も経験した。英語もそれなりにできる。年収は1,000万円を超え、家族もいて、住宅ローンも組んだ。
それなのに、なぜか胸の奥に引っかかるものがあります。
「自分は、この会社を出たら、いくらなのか」
この問いに正面から答えられる日本の社会人は、ほとんどいません。そして、答えられないこと自体が、日本企業で働く優秀層が置かれている構造を物語っています。自分の値段を知らないまま20年働くというのは、グローバルの基準で見れば、極めて異常なことだからです。
結論から申し上げます。日本企業で働く大多数の優秀な人材は、「能力がない」のではありません。「値段がつく市場に立っていない」のです。世界で最も質の高い労働力が、世界で最も安い値段で、しかも本人が気づかないまま使われている。これが、日本のホワイトカラー労働市場の正体です。
私はこれを「離島経済」と呼んでいます。島の中では物価も給与も動かないので、誰も違和感を持ちません。しかし島の外では、水位が上がり続けています。島の住人は、島の中の序列、つまり同期より少し高い年収、同期より少し早い昇進にだけ意識を向けているので、島の外の価格を知る機会がありません。
本稿では、この離島の正体を数字と構造で解剖し、私自身がどうやって島を出たのか、そしてあなたがどのルートで市場価値を3倍以上にできるのかを、順を追って説明します。
第2章 数字で見る「離島」。日本の給与は、世界からどれだけ離れているか
まず、感覚ではなく数字で確認しましょう。
34年間、動かなかった日本の賃金
OECDの平均賃金(購買力平価ベース、2024年)を見ると、米国82,933ドル、ドイツ69,433ドル、カナダ69,417ドル、英国63,691ドル、フランス60,608ドル、イタリア51,019ドルに対し、日本は49,446ドル。G7で最下位です。
より深刻なのは推移です。日本の平均賃金は1990年から2024年までの34年間、ほぼ横ばいでした。1990年から2024年の平均が約49,900ドル、最高でも2021年の51,138ドルです。同じ期間に米国は55,093ドルから82,933ドルへ、約1.5倍になりました。
つまり、あなたのお父さんの世代とあなたの世代で、実質的な給与水準はほとんど変わっていない。一方でアメリカの同世代は1.5倍になっている。これが「離島」の第一の意味です。
国税庁の「令和6年分 民間給与実態統計調査」によれば、日本の給与所得者の平均給与は478万円、年収1,000万円超は全体の6.2%に過ぎません。日本では、年収1,000万円が「上位6%の勝ち組」なのです。
日本の最高峰でさえ、ウォール街の30歳に届かない
では、日本のトップ企業はどうでしょうか。総合商社の平均年収は、直近の有価証券報告書ベースで、三菱商事が約2,100万円、三井物産が約2,050万円、伊藤忠商事が約2,000万円、住友商事が約1,840万円です。平均年齢43歳前後の数字ですから、日本企業としては間違いなく最高水準です。
しかし、グローバル市場の値段と並べてみましょう。
米国の投資銀行(バルジブラケット)では、新卒1年目のアナリストで総報酬18万〜22万ドル、アソシエイトで概ね30万〜50万ドル、VPで50万〜70万ドル、MDで80万ドルから150万ドル以上というのが2025年の相場です。1ドル155円で換算すると、アソシエイト(20代後半〜30代前半)で4,600万〜7,700万円、VP(30代)で7,700万〜1億円超になります。
日本で「最高峰」とされる総合商社の、43歳の平均年収が、ウォール街の30歳前後のアソシエイトの半分以下。これが離島とグローバル市場の価格差です。
PEファンドも同様です。外資系ラージキャップのPEファンドでは、日本オフィスであってもVPクラスで2,500万〜3,000万円、ディレクター・プリンシパルで4,000万〜5,000万円、パートナーで1億円超が相場であり、ここにキャリー(成功報酬)が乗ります。
MBAの出口が示す「標準的な値付け」
MBAの出口も見ておきましょう。私の母校であるシカゴ大学Booth MBAの2025年卒業生の初年度基本給の中央値は175,000ドル、サインオンボーナスの中央値は30,000ドルです。Financial Timesのデータでは卒業3年後の平均給与は231,939ドル、MBA前から114%の増加です。
つまり、MBA後3年で年収が2倍強になる。これがグローバル市場での「標準的な」値付けの動き方です。日本企業で3年間頑張って年収が10%上がるのとは、まったく別のゲームが行われているのです。
繰り返しますが、日本企業の優秀層が劣っているからこの差があるのではありません。値段のつき方が根本的に違うのです。
第3章 なぜ「離島」になるのか。5つの構造要因
では、なぜ日本企業で働くと、グローバルな市場価値がつかないのか。5つの構造要因に分解します。
要因1:値付けの主体が「市場」ではなく「社内」にある
日本企業の給与は、職能等級・年次・社内評価で決まります。「あなたがいくらの人材か」を決めているのは労働市場ではなく、人事部と直属の上司です。
米国の投資銀行でアソシエイトの年俸が高いのは、「この人材を採らなければ競合に取られる」という市場の圧力が毎年働くからです。日本企業には、この圧力がほとんど働きません。辞めない前提で設計された制度は、辞めない人に高い値段をつける必要がないのです。
ここで生じるのが、「社内評価と市場価値のねじれ」です。社内で高く評価される人ほど、社内固有の能力、つまり調整力、根回し、部門間の交渉、上層部の意図の読み取りに長けています。しかしそれらは、社外では値段がつきません。皮肉なことに、社内で出世する人ほど、市場価値の観点では「島に最適化」されていくのです。
要因2:スキルが「社内言語」で蓄積される
日本企業で10年働くと、あなたは確実に多くのことを身につけます。稟議の通し方、根回しの順番、部長の機嫌の読み方、取引先の担当者との信頼関係、自社の製品・システム・慣行の細部。これらは社内では極めて価値があります。
しかし、その会社の看板を外した瞬間にゼロになります。「〇〇商事の営業」というスキルは、〇〇商事の看板と、〇〇商事が長年築いた取引先との関係の中でしか価値を持ちません。関係資産は会社に帰属し、あなた個人には帰属しないのです。
これが、商社の営業もメーカーの営業も、転職市場で思ったより値段がつかない理由です。優秀さの問題ではありません。蓄積したものの「通貨」が、社内でしか流通しない通貨だったということです。
要因3:グローバル市場の「共通言語」を扱っていない
グローバルの労働市場で値段がつく「通貨」は、驚くほど限られています。
会計(IFRS・US GAAP)、ファイナンス(DCF、LBO、資本構成)、契約(英文契約の交渉)、そして英語での説得と交渉。これらは、世界中のどの会社でも、どの投資家でも、同じ意味で通じる言語です。ニューヨークでもロンドンでもシンガポールでも、バランスシートの読み方は同じであり、株式譲渡契約の論点は同じです。
日本企業の職種の大半は、この通貨を日常的に扱いません。数字は経理が作り、契約は法務が見て、英語は必要な時だけ通訳や英語の得意な人が入る。優秀な人ほど「調整」と「判断」に時間を使うため、グローバル通貨を貯める機会がないのです。
30歳の「1日」を比べてみる
抽象的な話なので、具体的に比べてみましょう。
大手商社の営業部門にいる30歳の1日は、こうです。朝、取引先からのメールに返信し、社内の関連部署と納期や条件を調整する。午後は部長への報告資料を作り、夕方は取引先との会食。稟議書を回し、上司の修正を反映し、来期の予算会議の準備をする。優秀であればあるほど、この調整が速く、正確で、周囲から信頼されます。
一方、外資系投資銀行やPEファンドにいる30歳の1日は、こうです。朝、対象企業の財務モデルを更新し、DCFとLBOのバリュエーションを見直す。午後は英語で相手方のアドバイザーと契約条件を交渉し、夕方は投資委員会向けのメモを書く。夜は弁護士とSPAのドラフトを詰める。
どちらが優秀か、という話ではありません。10年後に、どちらの経験が「世界のどこでも通じる通貨」として貯まっているか、という話です。前者の10年は、その会社でしか使えない通貨で貯まっていく。後者の10年は、ニューヨークでもロンドンでもシンガポールでも、そのまま値段がつく通貨で貯まっていく。日本企業の優秀層が直面しているのは、努力の量の差ではなく、貯まる通貨の種類の差なのです。
要因4:駐在は「経営」ではない
「海外駐在をしたのだからグローバル人材だ」。これは、日本企業で最も多い誤解です。
駐在員の典型的な業務は、本社の意向を現地に伝え、現地の情報を本社に上げること。現地法人の管理部門か、本社と現地のパイプ役です。P&L(損益)の最終責任を持たない、採用と解雇を自分で決めない、資本配分を決めない、ボード(取締役会)に自分の言葉で報告しない。
一方で、グローバル企業のカントリーマネージャーやPEファンドの投資先CEOに求められるのは、まさにこの4つです。100日で何を変えるか、KPIをどう設計するか、どの事業を切ってどこに投資するか、それを投資家にどう説明するか。
だから、駐在経験者がPEファンドの投資先のマネジメントを任されて、すぐにできるかというと、そういうわけではないのです。それは能力の問題ではなく、経験の「中身」の問題です。駐在3年で身につくのは「海外で働いた経験」であって、「海外で経営した経験」ではないことが多い。この違いを、市場は残酷なほど正確に見抜きます。
要因5:株主・経営者・従業員の「暗黙の共謀」
最も深刻な要因は、誰も文句を言わないことです。
株主は、世界最高品質の労働力を世界最安値で使えていることに満足しています。人件費が低いということは、利益率が高いということです。経営者は、自分自身がその制度の中で昇進してきたので、制度を変える動機がありません。そして従業員は、比較対象が「同期」しかいないため、自分が安く使われていることに気づきません。同期より少し高い年収を得れば満足し、同期より少し早く課長になれば安心する。
島の中の序列に意識が向いているうちは、島の外の価格を知る機会がない。給料が低すぎることに対して、文句を言う人がいない。これが離島経済を持続させている最大のメカニズムです。
この5つが重なった結果、日本企業で働く優秀な人材は、グローバルの価格が一切適用されない「離島」の中で、島の相場で値付けされ続けます。
第4章 私自身のケース。なぜ住友商事出身の私が、MBA後に外資系投資銀行4社すべてから内定を取れたのか
ここで、私自身の話をさせてください。自慢のためではなく、「何が市場価値になったか」を分解するためです。
私は住友商事で、3つの経験をしました。
◼︎1つ目:主計部での会計・決算・予算・IR
連結決算を締め、予算を組み、投資家に業績を説明する。これは「数字の言語」そのものです。バランスシートとP&Lとキャッシュフローを自分の手で扱い、事業部門の数字がどう連結に上がってくるかを理解し、投資家がどこを見ているかを知る。この経験は、世界中のどの金融機関でも、どのファンドでも、そのまま通じます。
◼︎2つ目:ニューヨーク駐在での米州・中南米の事業マネジメント
私はニューヨークで、アメリカ・中南米の事業マネジメントに携わり、事業会社の経営に実際に関与しました。現地の経営陣と英語で数字を詰め、投資の判断に関わり、事業会社のマネジメントの現場に入る。「駐在した」ではなく「経営に関わった」経験です。第3章の要因4で述べた「駐在の落とし穴」を、幸運にも避けることができました。
◼︎3つ目:プロジェクトファイナンス部での大型グローバル資金調達
帰国後はプロジェクトファイナンス部で、大型のグローバル資金調達をアレンジしました。レンダー(金融機関)、法律事務所、格付け機関、スポンサーと英語で交渉し、契約を組み立て、資金調達をクロージングする。これは、投資銀行の仕事とほぼ同じ言語で行われる仕事です。
4社すべてから内定が出た理由
社費でシカゴ大学Booth MBAに留学した時、私が持っていたのはこの3つでした。会計・財務・ファイナンス、そしてグローバルビジネスデベロップメントのサポート。かなりグローバルなスキルを、住友商事という日本企業の中で、結果として構築できていたのです。
そして卒業時、ゴールドマン・サックス、モルガン・スタンレー、JPモルガン、バンク・オブ・アメリカの投資銀行部門すべてから内定をいただきました。
重要なのは、「住友商事だから」評価されたのではないということです。「住友商事で何をやったか」が、たまたまグローバル市場の通貨だったから評価されたのです。
その証拠に、同じ住友商事にいても、営業一筋だった同期が同じルートを辿れたかというと、そうではありませんでした。優秀さでは私より上の人がいくらでもいました。しかし彼らのスキルは「住友商事の営業」という社内通貨で蓄積されていて、グローバル市場での両替レートがついていなかったのです。
私は運が良かった。主計部という配属が、結果的にグローバル通貨を貯める場所でした。しかし、あなたは運に頼る必要はありません。何が通貨で、何が通貨でないかが分かれば、意図的に貯めることができます。それをお伝えするのが、この記事の目的です。
第5章 市場価値とは何か。グローバル市場が値段をつける「5つの通貨」
ここまでの議論を整理すると、グローバル市場での市場価値は、次の5つの通貨で決まります。
通貨1:数字の言語
会計・財務・バリュエーション。P&L、BS、CFを読み、作り、説明できること。DCFやLBOのモデルを自分で組めること。これが最も基本的で、最も汎用性の高い通貨です。数字の言語がない人は、グローバル市場では「経営について話す資格がない」と見なされます。
通貨2:取引の実績
M&A、資金調達、事業投資、売却。「自分の名前でクロージングした案件」を語れること。どの案件で、いくらの規模で、自分はどの役割を担い、何を交渉し、何が難しく、どう解決したか。これが、投資銀行・PE・戦略コンサルの面接で、実質的に問われる唯一の質問です。
通貨3:経営の実績
P&L責任を持ち、組織を動かし、数字を変えた経験。売上をいくらからいくらにしたか、コストをどう削ったか、何人の組織をどう変えたか、何を止めて何に投資したか。事業会社のCXOやPE投資先のマネジメントに求められる通貨です。
通貨4:英語での交渉と説得
TOEICの点数ではありません。英語で契約を交渉し、英語で経営陣を説得し、英語で投資家に説明して、勝った経験です。「英語ができる」と「英語で戦える」の間には、市場価値において決定的な差があります。
通貨5:値付け市場に自分を晒した経験
外資系企業の採用プロセス、MBAのリクルーティング、ヘッドハンターとの交渉。「自分に値段がついた経験」そのものが通貨になります。一度グローバル市場で値段がつくと、次からはその値段が出発点になるからです。逆に、一度も値段がついたことのない人は、いくら優秀でも「値付け不能」と扱われます。
市場価値とは、この5つの通貨をどれだけ持っているかを、採用側が読める形で提示できることです。逆に言えば、実力があっても、通貨に両替されていなければ、値段はつきません。日本企業の優秀層に起きているのは、まさにこの「両替されていない」状態なのです。
第6章 なぜMBAで市場価値がつくのか。学位ではなく「リプライシング」
「MBAを取れば市場価値が上がる」とよく言われますが、なぜ上がるのかを正確に説明できる人は少ない。「箔がつくから」「英語ができるようになるから」という説明では、本質を外しています。
答えは、MBAが「勉強の場」ではなく、「値付けのやり直し(リプライシング)の場」だからです。
MBAが市場価値を生む仕組みは、5つあります。
仕組み1:社内通貨をグローバル通貨に両替する
日本企業で10年かけて身につけた経験を、会計・ファイナンス・戦略という共通言語に翻訳し直す。「営業で売上を伸ばした」が「EBITDAをX%改善した」になり、「駐在で現地法人を管理した」が「P&Lを持って組織を再編した」になる。両替の場所が、MBAです。
仕組み2:値付け市場への直接接続
これが最大の仕組みです。ゴールドマン・サックスも、マッキンゼーも、KKRも、日本企業の「営業10年」の社員を中途でいきなり採ることは、ほとんどありません。値付けができないからです。
しかし、MBAの学生としてなら採ります。キャンパスリクルーティングは、グローバル企業が「値付け可能な人材」を大量に仕入れる唯一の市場であり、MBAに入ることは、その市場に商品として並ぶことを意味します。「住友商事の営業10年」は値付け不能でも、「Booth MBA」は値付け可能。ラベルの付け替えです。
Boothの2025年卒業生の72.1%が学校経由のチャネルで就職し、そのうち約半数がサマーインターン先からの内定であるという数字が、この仕組みの威力を示しています。
仕組み3:英語の証明
2年間、英語でケースを議論し、英語で交渉し、英語でチームを動かした事実。これはどんな英語試験よりも強い証明です。
仕組み4:同級生がグローバル市場の当事者になる
同級生はウォール街、シリコンバレー、PEファンド、グローバル企業の経営層になります。彼らとの関係は、10年後、20年後にディールを持ってくるネットワークになります。私自身、MBAの同級生との関係は、その後のキャリアの至るところで効いています。
仕組み5:期待値のリセット
最も見落とされていて、最も大きい仕組みです。
年収1,500万円で満足していた人が、隣の席の同級生が30万ドルのオファーを取るのを目の当たりにする。その瞬間、自分の値段の基準が「島の相場」から「グローバルの相場」に書き換わります。
MBAで一番変わるのは、スキルではなく、自分自身への値付けなのです。島の中では絶対に起きないことが、島の外に出た瞬間に起きる。これが、MBAが市場価値を生む本当の理由です。
ミドルキャリアのMBAは、リプライシングの幅がさらに大きい
30代後半・40代の方には、フルタイムMBAではなく、Chicago Booth EMBA、Stanford MSx、MIT Sloan Fellowsといったミドルキャリア向けプログラムがあります。仕組みは同じです。
むしろ、10年〜15年分の実績を持って両替に行くので、リプライシングの幅はフルタイムMBAより大きい。年収1,500万円のミドルが、卒業後にPEファンド、商社のCXO、PE投資先のCXO、米国での残留で年収3,000万円以上に到達するのは、この仕組みが機能した結果です。
社費MBAは、リスクゼロで両替に行ける最強のルート
私自身は、社費でBoothに行きました。社費MBAの最大の利点は、学費と生活費という数千万円のリスクを自分で負わずに、値付け市場に自分を並べられることです。多くの大手企業には社費留学制度があり、社内選考に通れば会社が費用を負担します。
「社費で行ったら、戻らなければならないのでは」という声をよく聞きます。しかし、社費留学の本質は、会社にとっても「グローバル通貨を持った人材を育てる投資」です。戻ってから社内でその通貨を使う道もあれば、規定の期間を勤めた後に外に出る道もある。いずれにせよ、両替が済んだ人材の値段は、留学前とは別物になっています。社費留学の社内選考をどう突破するかは、それ自体がひとつの戦略であり、アルファアドバイザーズが最も多くのご相談を受けるテーマのひとつです。
MBA以外のルートも、原理は同じ
MBAだけがルートではありません。USCPA・CFAで数字の通貨を証明し、外資系企業の日本法人に横移動して値付け市場に自分を晒すルート。社内でファイナンス・事業投資・M&A案件に手を挙げて、取引の実績を作るルート。
しかし、どのルートを選ぶにせよ、原理は同じです。社内通貨をグローバル通貨に両替し、値付けをする市場に自分を並べること。この原理を理解せずに「とりあえず転職」をすると、島から別の島に移るだけで、値段は変わりません。
第7章 今のキャリアから市場価値を3倍にする。現在地別の脱出ルート
では、今のあなたのキャリアから、どう動けばよいのか。現在地別に整理します。
現在地A:大手企業の管理部門(経理・財務・経営企画・IR)
最もグローバル市場に近い場所にいます。すでに「数字の言語」を持っているからです。足りないのは、取引の実績と、値付け市場への接続です。
USCPAやMBAで通貨を証明し、外資系投資銀行、PEファンド、戦略コンサル、外資系事業会社のCFO・FP&Aへ。年収1,000万円が3,000万円になるルートは、ここが最短です。私自身がこの現在地から出発しました。
現在地B:商社・メーカー・金融の営業・事業部門
最も多くの方がここにいて、最も「自分は大丈夫」と思いやすい場所です。関係資産は会社のものであって、あなたのものではない、という現実を直視するところから始まります。
打ち手は3つです。第一に、社内で事業投資・M&A・ファイナンス案件に手を挙げ、財務モデルとSPA(株式譲渡契約)に自分の手で触れる。第二に、駐在に行くなら「P&Lを持つポジション」を取りに行く。第三に、MBAでラベルを付け替える。
営業10年の経験は、ゼロではありません。「顧客の意思決定を動かした」経験は、両替さえできれば、PE投資先の経営やコンサルで値段がつきます。問題は経験そのものではなく、両替の仕方なのです。
現在地C:駐在中・駐在経験者
「駐在した」を「経営した」に翻訳し直す作業が必要です。現地法人の売上・利益・人員・投資額を、自分の意思決定と結びつけて語れるように、経歴を書き直す。もし今駐在中であれば、残りの任期でP&Lに直接触れるポジションを取りに行く。
それができれば、EMBA・MSxを経由してPE投資先のCXO、外資系日本法人のカントリーマネージャーへのルートが開きます。
現在地D:30代後半・40代の管理職
「もう遅い」は嘘です。むしろ10年〜15年の実績があるからこそ、リプライシングの幅が最も大きい層です。
ミドルキャリア向け海外MBA(Chicago Booth EMBA、Stanford MSx、MIT Sloan Fellows)を経由し、PEファンド、PE投資先のCEO・CFO、商社・大手事業会社のCXO、米国での残留へ。年収3,000万円以上、PE投資先ならエクイティ(株式報酬)が乗ります。
到達点の年収水準
現在の年収が900万〜1,500万円であれば、どのルートでも3倍です。
3倍になるまでの時間軸
どのルートも、5年以内です。そして、扉は年齢とともに順番に閉まっていきます。外資系投資銀行の中途採用は20代〜30代前半、PEファンドは30代前半〜半ば、フルタイムMBAは30代前半まで、ミドルキャリアMBAは40代半ばまで。「いつか」と言っているうちに、使えるルートが一つずつ減っていく。今の年齢で、まだ開いている扉がどれかを確認することが、最初の一歩です。
第8章 あなたの市場価値は、間違いなく3倍以上になる
18年以上、80,000名以上の方のキャリアを見てきて、私が確信していることがあります。
日本企業で働く優秀な人材の市場価値は、正しく両替すれば、間違いなく3倍以上になります。
根拠は3つです。
第一に、離島価格とグローバル価格の差が、そもそも2倍〜3倍以上あること。第2章の数字が示す通り、同じ能力の人材に対して、島の中と外では値付けが根本的に違います。あなたの能力が変わらなくても、立つ市場を変えるだけで値段は変わります。
第二に、職種の付け替えによる上乗せ。営業からファイナンスへ、管理部門から投資へ、駐在員から経営者へ。職種が変わると、報酬の構造自体が変わります。固定給中心から、ボーナス・キャリー・エクイティが乗る構造へ。上限が外れるのです。
第三に、実例です。商社の営業で年収1,400万円だった方が、MBAを経てPEファンドに入り、数年で年収4,000万円を超える。メーカーの経理からUSCPAを経て外資系FASへ、そしてPEファンドへ。駐在経験者がEMBAを経由してPE投資先のCFOへ。こうしたケースは、アルファアドバイザーズでは珍しいことではありません。
動けない人が口にする、4つの反論
ここまで読んでも動けない方が口にする反論は、決まって次の4つです。それぞれに答えておきます。
反論1:「最近は日本企業も賃上げしている」
確かに2023年以降、賃上げは進んでいます。しかし、第2章の数字を思い出してください。34年間横ばいだった水準が数%上がったところで、1.5倍になった米国との差は埋まりません。島の中の水位が数センチ上がっても、島の外の水位とは比べものにならないのです。
反論2:「転職すると年収が下がると聞いた」
下がるのは、島から別の島へ、社内通貨のまま移った場合です。両替せずに転職すれば値段はつきませんし、社内通貨の価値は転職先で目減りするので、むしろ下がります。上がるのは、グローバル通貨に両替してから、値付け市場に立った場合だけです。転職で年収が下がった人の大半は、両替をしていません。
反論3:「外資やファンドは解雇リスクが高い」
その通りです。だからこそ、値段が高いのです。解雇リスクがほぼゼロの代わりに値段が3分の1というのが日本企業の契約であり、解雇リスクを負う代わりに値段が3倍というのがグローバル市場の契約です。どちらを選ぶかは自由ですが、リスクを取らずに3倍の値段だけを得る方法はありません。そして、一度グローバル通貨を持った人材は、仮に一社を離れても、次の値段がつきます。本当のリスクは、解雇されることではなく、値段のつかない人材のまま50歳になることです。
反論4:「家族がいて、住宅ローンもあるから動けない」
最もよく聞く反論であり、最も逆です。家族がいて、教育費がかかり、住宅ローンがあるからこそ、年収を3倍にする必要があるのです。お子様の海外大学の学費、ご自身の老後、親御さんの介護。島の相場の年収では、これらすべてを同時に賄うことはできません。家族は、動かない理由ではなく、動くべき理由です。
あなたが優秀なのに年収が変わらないのは、あなたのせいではありません。日本企業という離島の構造の問題です。
しかし、この先も変わらないとしたら、それはあなたの選択です。構造は変えられませんが、島から出るかどうかは、あなたが決めることです。
第9章 「どのルートで3倍にするか」は、あなたの経歴を見ないと判定できない
ここまで読んで、「自分はどの現在地で、どのルートを取るべきか」を考え始めた方も多いと思います。
正直に申し上げると、それは記事では判定できません。
5つの通貨のうち、あなたが何をどれだけ持っているか。それをどう「翻訳」すれば値段がつくか。フルタイムMBAか、EMBAか、MSxか、それともMBAを経由せずに外資へ横移動すべきか。社費留学の可能性はあるか。年齢と家族の状況から逆算して、どの順番で、いつまでに何をすべきか。
これらは、職務経歴書と経歴の文脈を見て、初めて判定できることです。同じ「商社営業10年」でも、どの部門で、どの案件に、どこまで関与したかで、両替できる通貨の量はまったく違います。「駐在3年」でも、その中身次第で、経営の実績になるかならないかが分かれます。
アルファアドバイザーズでは、18年以上・80,000名以上の支援実績をもとに、以下をサポートしています。
転職を決めていない方こそ、ご相談ください。アルファアドバイザーズは、案件ありきで転職を勧める場所ではありません。あなたの今の値段を正直にお伝えし、島を出るべきか、出るならどのルートか、出ないなら社内でどう通貨を貯めるかを、一緒に設計します。今の会社に残るという判断も、自分の値段を知った上で下すのと、知らずに下すのとでは、まったく別のものです。
島の中にいる限り、あなたの値段は島の相場で決まり続けます。しかし、島の外の値段を知り、両替の方法を知れば、あなたの市場価値は間違いなく3倍以上になります。
今のキャリアから、どのように自分の市場価値を高められるか。まずはそのご相談から始めてください。
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アルファ代表TJプロフィール
TJ:住友商事株式会社(主計部にて本社及び関係会社800社超の予算・決算・業績管理、IR業務に従事。米国住友商事(NY)における研修生として選抜(最年少)住友商事出資の米国電炉事業会社再生等に従事。プロジェクト・ファイナンス部にて、開発途上国におけるインフラストラクチャー・プロジェクト向け大型ファイナンス組成やジュピターテレコム向けファイナンス組成等に従事。欧米MBAプログラム派遣生に選抜)シカゴ大学ビジネススクール(MBA) 留学(ファイナンス、アントレプレナーシップ、オーガニゼーション・マネジメントを専攻)。シカゴ大学日本人会(The University of Chicago Japanese Association)ファウンダー。シカゴ大学ビジネススクール初の「JAPAN TRIP」企画・実行(その後毎年恒例となる)。ゴールドマン・サックス証券株式会社 投資銀行部門 勤務(メディア、消費財等分野における数々のM&Aアドバイザリー、資金調達(IPO含む)サポートに従事。プライベートエクイティ投資及び事業再生サポート業務に従事。)経済同友会 第四回起業塾 塾生(応募200名以上の中から、6名の塾生の一人に選抜。ハーバード、スタンフォード等欧米アジアトップMBA、大学院、大学、ボーディングスクール合格者多数輩出。三菱商事、マッキンゼー、ゴールドマン・サックス、ブラックロック、Google、BIG4コンサル/FAS、電通、トヨタ、三菱UFJ銀行、野村證券などトップ企業内定等の指導実績多数。TOEFL、GMAT、IELTS、GREの個別指導も徹底的にやりきる指導に定評あり。ゴールを設計し、ゴールを達成させるために比類ないクオリティを求めることで高い評価を得ている。TJをアドバイザーにつけたいという依頼が殺到している。