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Point72の新卒採用とヘッジファンドの特徴
Point72はアメリカを代表するヘッジファンドの一つで、新卒採用に積極的な数少ないヘッジファンドとして知られています。同社の運用方針は、ロングショート、グローバルマクロ、システマティックの3つに分かれており、日本株担当者は主にロングショート戦略を担当します。
ロングショート戦略では、株式の買いと売りの両方のポジションを取ることができ、下落局面でもリターンが取れることを意味しています。よく「外資アセマネとヘッジファンドの違いはなんですか？」と聞かれることがありますが、大きな違いのひとつがこの自由度の高い運用手法です。
Point72の新卒プログラムの特徴として、「Point72 Academy」と呼ばれる1年間の研修制度があります。これは大学の講義のような形式で、ファンダメンタル分析やアナリスト業務の基礎を学ぶことができます。その後、オフィスローテーションを経て正式に配属されるというキャリアパスが用意されています。
同社は5-8年程度でファンドマネージャーへの登用を視野に入れており、新卒で入社した場合、30歳前後でファンドマネージャーになれる可能性があります。これは業界内でも非常に速いキャリアパスと言えます。1年目で年収も1500万円を超える水準であり、非常に魅力的な条件となっています。
ただし、このような好条件の背景には、厳しい実力主義があります。例えば、運用しているファンドが10%以上下落した場合、そのファンドが閉鎖される可能性があり、それは即ち職を失うリスクにも繋がります。
そのため、単に優秀なだけでなく、高いプレッシャーに耐えられるメンタリティを持っているかどうかも重要な採用基準となっています。
選考プロセスとストックピッチの重要性
Point72のようなヘッジファンドの選考プロセスは、①ES提出、②ストックピッチ提出、③面接という流れになっています。特筆すべきは、面接前にストックピッチの提出が求められ、このストックピッチで合格しなければ面接に進めないという点です。つまり、ストックピッチは選考における最重要関門の一つと言えます。
ストックピッチとは、特定の銘柄についての投資レポートです。
対象企業のビジネスモデル、収益構造、将来の見通し、そして最終的な投資判断（買い推奨か売り推奨か）までを、綿密な分析に基づいて示す必要があります。具体的には、財務モデリング、ボトムアップ分析、トップダウン分析、バリュエーションなど、高度なファイナンススキルを駆使して作成します。
特に財務モデリングでは、5年後までの財務諸表（損益計算書、貸借対照表、キャッシュフロー計算書）を予測し、それらが相互に整合性を持って連動するようExcelで組み立てる必要があります。これは初心者が独学で習得するのは極めて困難なスキルです。
また、単にストックピッチを作成して提出すれば良いわけではありません。面接では、そのストックピッチの内容について徹底的な深掘りが行われます。例えば「なぜその銘柄を選んだのか」「同業他社との株価の違いをどう説明するのか」「リスクが顕在化した場合の財務的影響をどう数値化するのか」といった質問に、論理的な根拠を持って答えられる必要があります。
ヘッジファンド選考突破のための対策
ヘッジファンド選考を突破するためには、大きく分けて2つの準備が必要です。1つ目はテクニカル面（ハードスキル）の準備です。前述のストックピッチ作成に必要な財務モデリングやバリュエーションのスキルを、プロのサポートを受けながら習得する必要があります。
独学では習得が困難な理由として、以下のような点が挙げられます：
2つ目は、マインドセット面（ソフトスキル）の準備です。ヘッジファンドは極めてプレッシャーの強い職場環境です。自分の投資判断が直接的にファンドのパフォーマンスに影響を与え、場合によっては解雇リスクにも直面します。そのため、面接では「本当にヘッジファンドで生き残っていけるのか」という観点で、候補者のメンタリティが厳しく問われます。
アルファには多くのヘッジファンド志望者からの相談が寄せられています。中には「本気で年収5000万を目指したい」「人生を変えたい」と意気込む人もいますが、実際の行動が伴わない人や、自己投資に躊躇する人も少なくありません。
ヘッジファンドの人事担当者によれば、行動力に欠ける人、リスクを取れない人、キャリアの不安定性を過度に恐れる人材は、ヘッジファンドには適していないとされます。
したがって、技術面の準備と並行して、以下のような点について自己分析を深める必要があります：
ここで一つ、重要な認識の修正が必要です。「解雇リスクがある＝不安定なキャリア」という考えは必ずしも正しくありません。
先日アルファが開催したウェビナーで、ヘッジファンドに内定した方が興味深い証言をしています。「毎日のようにヘッドハンターから転職の誘いが来る。この会社を仮に退職することになっても、外資金融やヘッジファンドへの転職の選択肢は豊富にある」とのことでした。
つまり、ヘッジファンドでのキャリアは、一見すると不安定に見えて、実は多くの可能性に開かれているのです。仮に一つの会社を去ることになっても、その経験を活かして次のステップに進むチャンスは大いにあります。
このように、ヘッジファンドの選考突破には、技術とメンタル両面での万全な準備が必要不可欠です。特に新卒採用の場合、早い段階から準備を始め、プロフェッショナルのサポートを受けながら、計画的に対策を進めていくことが推奨されます。
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